参考

設計参考資料

Eagle CAD 自己メモ集 ライブラリ作成編

 

図面を書き始める前に、必要なパーツを洗い出し、最初にライブラリを作成する必要がある。

ライブラリが確定していれば、後はスムースに作業が進められる。
ライブラリは、ライブラリエディタ(Library Editor)を使用して編集する。


ライブラリ製作前に、自分の使用するライブラリおよび基板製造環境を確認する。

理由 → ライブラリは基板設計に大きくかかわってきます。
特にピッチが狭くなってくるとDRCの影響を受けたり、ドリルを伴うライブラリはドリル径をそろえる必要があります。

このWebは、1つの指標とすべく例となる数値を記録しておきます。

  • あまり高密度は考えていません。Debugが可能なように、手半田できることを基本とします。
  • Eagleは小物設計が主なので、おおむね2層配線(両面板)を基本と考えています。
  • ミリ指定の部品については、ミリを用いていますが、基本はMIL(=0.001inch)が基本単位です。

 

ライブラリ作成

 

グリッドの設定

ライブラリは回路図を書く際にグリッドに乗せる必要がある。
特にシンボルの信号端点がグリッドに乗せておかないと接続できない。

標準のグリッドピッチ 100MIL = 0.1inch

ターゲット Size Multiple
Pinを描画する 100MIL 1
外形を描画する 100MIL 1
文字を描画する 10MIL 5

※EAGLEの基本単位は、GRIDダイアログのSizeドロップダウンで設定した単位がエディタ全体の各設定に反映される。
ただし、内部的にはMILで保持していると考えられる。

※座標にSnapする機能を実行する際、キーボードのALTキーを押すと、GridダイアログのALTで設定された、もう1つの座標系で配置ができる。

 

使用する線の太さ

ライブラリで使用する基本サイズは設計者の自由ではあるが、他のライブラリとの整合性から下記をデフォルトとする。

グリッド間隔 Size=0.1    座標中心=デバイスセンター Wire(94Symbols)で描画

文字サイズ Proportional Size=0.07 Ratio=8%   

FontはVector, Proportional, Fixed
Sizeは縦の高さ(inch)    文字幅はフォント*Sizeで決まる
RatioはVector Fontの文字線太さ(dot)  Proportional, Fixedでは画面効果は無い

文字サイズ 配置 Size FONT Ratio Layer
>NAME 左上 0.07 Proportional (8) 95 Names
>VALUE 左下 0.07 Proportional (8) 96 Values

※文字は、印刷時に背景周囲まで白抜きされるため、箱シンボルの近くに文字を配置すると、周囲部のラインが侵食される。
文字周囲の範囲として、文字アンカー+がラインにかからない程度に離したほうがよい。

 

ターゲット Width 直径
配線ライン 0.006  
箱シンボル外枠 0.016  
ロジカルシンボル外形 0.016  
Junction 0.02 0.04
シルク外形線    
禁止帯線幅(tRestrict)    
     

ライブラリ中で配線ラインやジャンクションを描画する場合、上記寸法とする。

 

 

ライブラリを準備する

EagleCADのWebからライブラリをダウンロードする。

多くは、ユーザー作成なので内容に統一が取れていない場合や、最新のものは内容が誤ったものも存在するから要注意。

ftp://ftp.cadsoft.depubフォルダ からダウンロード USでなく、開発元であるドイツのサイト

注意するポイント:単位系(インチ/ミリ)、ドリル径、線幅、シルク幅...

 

パーツ編集の準備

ライブラリに含まれているパッケージ情報を得ておくとライブラリ作成の際に役立ちます。

特に部品の中でも半導体パッケージは規格に基づいて設計されており、共通化できる可能性が非常に高いため、既存ライブラリからパッケージ情報を集めておきます。

Eagleのライブラリ編集画面のExport-Scriptで内容をテキストファイルに出力することができます。

ライブラリファイルは非常にたくさんあるので、手作業で1つづつ出力では大変なので、Eagleの機能を利用してテキストファイルに出力しておき、それを検索することにします。

Eagle Library Searchについて

 

パーツ形状を探す

使用しているパーツと同じ形状のライブラリがないかをチェックする。

穴径やパターンなど出図する基板屋の設計ルールに合致しない場合がないかもチェックする。

 

ライブラリファイルをコピーする

ライブラリファイル自体をコピーします。

  1. コントロールパネルのLibrariesで、コピーするライブラリファイル名を右クリックする。
  2. 表示されるメニューダイアログから、Copyを選択する。
  3. 保存ダイアログで保存フォルダを指定し、ライブラリ名を与えてコピーを実行する。

WindowsのExplorerでそのままコピーしても新たなライブラリは作成できます。
※1つのライブラリファイル自体で構成されています。起動時に拡張子判別でライブラリとして認識されます。
※回路図で使用するためには、Copy後にコントロールパネルからuseフラグをONにする必要があります。

 

オリジナルライブラリにパーツを登録する

Eagle等で提供されているライブラリから自分のオリジナルライブラリへパーツデータをコピーします。

ライブラリには、回路図で使用するシンボルの情報のほか、部品のランドやシルク情報やピンの属性情報などを持っています。
ライブラリ自体に基板製造時の形状、穴系やランド幅、シルクなど持っているため、それらすべてを使用する基板製造ルールにあわせる必要があります。

特にインチとミリの単位やDRCでの最小線幅や距離が重要となってきます。

  • ライブラリごとコピーする
  • 必要なパーツのみコピーする

 

パーツをライブラリファイルにコピーする方法

  1. コントロールパネルで、追加するライブラリファイルを開いておく(ライブラリエディタ)
  2. コピーするパーツをコントロールパネルで選択し、 マウス右クリックのCopy to Libraryを実行する。
  3. ライブラリエディタにて、追加されたパーツを含むライブラリファイルを保存し、終了する。

※コントロールパネルではシンボルとパッケージの一覧が表示される。

  • シンボルを選択すると、デバイス情報と関連したすべてのパッケージもコピーされる。
  • パッケージを選択すると、パッケージ情報のみコピーされる。

 

パーツのシンボル図をライブラリファイルにコピーする方法

  1. コントロールパネルから、追加するライブラリファイルを開いておく(ライブラリエディタ)
  2. ライブラリエディタのULPから、lbrcpy_12.ulpを実行する。
  3. シンボル図もしくはパッケージ単独でコピーが可能となる。

パッケージのみのコピーも可能ではあるが、上記のパーツをライブラリファイルにコピーする方法のほうが適している。

 

パーツ名称を変更する

  1. ライブラリエディタでライブラリファイルを開き、変更するパーツを選択する。(デバイス、シンボル、パッケージ)
  2. メニューから Library-Renameでそれぞれ変更する。

 

パーツを削除する

  1. ライブラリエディタでライブラリファイルを開き、削除するパーツを選択する。(デバイス、シンボル、パッケージ)
  2. メニューから Library-Removeでそれぞれ削除する。

※ライブラリ中でデバイスとして使用されている場合、削除できない。

 

シンボル全体の配置を移動

  1. 移動する部分すべてをGroupで選択する。
  2. MOVEを選択する。
  3. マウス右ドラッグで移動できる。

 

パーツシンボルを新規作成する方法

 

電源ピンの処理について

シンボルに電源ピンを含めると、回路図中に表示されてしまう。(EAGLEには、非表示ピンの概念はない)
デバイスを設定する際に、部品と電源の図面シンボルをデバイス内に配置することで部品と電源を結合する。

電源を含まないシンボルを図面に配置すると、デバイスに含まれる電源ピン名(例 VCC, GND, VDD, VSS)は、
回路信号上名称により結線されるので、あえて電源ピンの配置を行わなくとも結線される。

電源ピンを非表示とするためには

デバイスを作成する画面で、電源ピンのシンボルを機能Gateシンボルと別に作成し、1つのデバイスに複数のシンボルを配置する。
回路図中に電源シンボルを配置しないことで非表示を実現する。
電源シンボルのADD LEVEL属性をRequestにすることで、回路図エディタでADDコマンドによるパーツライブラリ選択中に電源ピンのシンボルが現れない。

非表示電源ピンの表示要求

NET配線的に、デバイス単位で電源やGNDを分離する場合は、個別に電源ピンを処理する必要がある。
非表示電源ピンを回路図エディタで使用する場合、以下のように行う。

  1. ツールからi>ツールからINVOKEを選択する。
    (もしくは、回路図エディタコマンドラインから INVOKE コマンドを実行する。)
  2. 電源ピンを表示したいパーツを左クリックする。
  3. 選択ダイアログから表示したいシンボルを選択する。
  4. 配置した居場所で左クリックする。

INVOKEコマンドは、選択されたシンボルが持つ、電源ピンや非表示(ADD属性), Swap属性にかかわらず、すべてのシンボルを呼び出すことができる。

電源Pinの名称

標準以外の電源ピンの名称を回路図中に非表示とする場合は、Pin名称のVisible属性をOFFにする。

Visible 機能
OFF 回路図中にPin名称を表示しない
Pad PAD名称のみ表示
Pin Pin名称のみ表示
Both PAD名称、Pin名称を表示

シンボル中の複数の電源ピン

1つのシンボルやパッケージ内では、同一名称のピンやPADは使用できない。
VCC, GNDなど、同じ機能(名称)の電源ピンやPADが複数存在する場合、電源属性のピンやPADについては
VCC@1, VCC@2のように@Numを用いる。
電源属性を持った信号について、@以降は無視され同一結線される。

電源以外の場合は、信号名を変える。(@Numとしても、それぞれ別信号として認識されるため、@を使用すると混乱する。)

 

ライブラリエディタのVALUE ON/OFF

シンボルを回路図面に配置した後、シンボル名を変更できる/できないの設定
OFFにすると、ライブラリで設定されたデバイス名称が回路図面中に表示される。
ONにすると、回路図のVALUEで部品名を登録できる。(例 10K, 0.1uF)

 

デバイス中のシンボル Swap Level属性

Swap Levelは1つのデバイス内に同じ内容の独立した機能ブロックが複数種類含まれる場合に有効な機能です。
たとえば、2入力ANDと3入力ANDが複数含まれている場合、2入力ANDと3入力ANDに異なるSwap Levelを与えることで
シンボルの交換(Change)を行う場合、同じSwap Levelのシンボルが順に選択されます。

0:Swap Level=0の場合、シンボルの交換ができません。(ライブラリ作成時のデフォルト)
交換しないPinのSwap Level属性は0となります。

1..255: 同種デバイス中の同じレベルを設定されたシンボルやゲート間で交換ができます。


※交換(Change)は、同じ種類のICであれば、他のIC間でもシンボルを交換できる。
たとえば、LS00が2個ある場合、使用するシンボルを入れ替えることができる。
機能的に同一パッケージが望ましい場合や、配線・配置の都合で交換する。

 

デバイス中のシンボル ADD属性

ADDは以下の属性がある。

属性 機能
Next デバイス内に1つ以上のゲートがある場合、回路図でシンボルを使用(ADD)するごとに、次のADD属性がNextのシンボルを使用する。
Must デバイスのいずれかのシンボルが使用された際、自動的(強制的)に配置されるシンボル。
デバイスの他のシンボルが回路図中に存在する場合、削除できない。
デバイス中の、他のすべてのシンボルが削除されている場合、DELETEコマンドによりデバイスは削除される。
Always Mustと同じよう自動配置されるが、削除やInvokeにより変更できる。
Can デバイスがNext属性のシンボルを含む場合、Invokeコマンドを実行すると読み出すことができる。
CanとRequestだけの場合のみ、Add選択される。
Request 電源シンボル(Power)の場合に使用する属性
通常ADDではシンボル選択できませんが、Invokeで取得できます。

1個のゲートシンボルと1個の電源シンボルだけがあるデバイスでは、ゲート名がコンポーネント名に追加されません。
この属性の場合、シンボル数としてのカウントには含まれません。
たとえば4ゲートシンボルと電源ピンのシンボルを含むデバイスで、PrefixをICとした場合、回路図中ではIC1A, IC1B, IC1C, IC1Dとなり、電源はIC1Eとはなりません。
→電源はP属性を持つため、この場合はIC1Pとなります。

 

パッケージ種別の指定

一般的に1つのICが、複数の種別のパッケージを持つことはよくあります。
また、抵抗やコンデンサなども、1つのシンボルに対して多くのパッケージや容量値を持つことになります。
ライブラリのデバイス設定でシンボルとパッケージの情報を結びつける際、Variant Nameを使用することで複数のデバイス情報を入れることができます。

Variantで指定された名称は、ICデバイス名称の後ろに結合されます。

 

特殊文字定義

以下の文字列は、表示や印刷時に変換される。

コマンド 内容 パッケージ シンボル 回路図
>NAME コンポーネント名  
>VALUE コンポーネント値/タイプ  
>PART コンポーネント名    
>GATE ゲート名    
>DRAWING_NAME 図面名称(ファイル名)
>LAST_DATE_TIME 最終編集時刻
>PLOT_DATE_TIME 最終印刷(PLOT)時刻
>SHEET 回路図シート番号  

 

 

Last Update : 2023/03/06